「お伽の棺」INTERVIEW 特設ページ

この劇場や稽古場に最初に来たのはいつ頃ですか。
また、そのときの印象などをお聞かせください。
劇場へいつ来たか、随分前の事になりますので詳細には覚えていませんが新たな匂いと昔ながらの温度のする独特な劇場であると感じた事を覚えています。
稽古場は劇場に併設されている為、こんなにも恵まれた環境で稽古が出来る事に驚いています。
本作は94年の初演後、韓国での上演など、これまでに5演されています。
演出をすることになったキッカケ、また依頼を受けたとき、どのように感じましたか。
演出をする事になったキッカケは、扉座の犬飼淳治さんにお話を頂きました。
依頼を受け、扉座の横内謙介さんの戯曲だと聞き、少し緊張感がありました。
初めて「お伽の棺」を読んだときの印象を教えてください。
人間関係の機微が細かく描写され、抑制やルールといった現代にも通じる箇所が非常に興味深く、またユーモラスな部分もある非常に稀有な戯曲だなと感じながら読ませて頂きました。

「お伽の棺」は民話の「鶴の恩返し」をモチーフにした作品です。
原作の素朴な雰囲気と違って、本作は昔の日本にあったような、村社会のおきてのようなものが支配する、ちょっとドロドロした世界のお話という印象を受けます。
本作の見どころ、魅力について深井さんはどのように考えていますか。
少し重複してしまう部分もあるかもしれませんが、男性と女性。母と子。
生きる場所のルールと自我。
様々な葛藤が繊細に描かれた作品で、シンプルな構造の中に祈りの様な物が強く感じられる所が魅力的だなと感じております。
本作は、音響も照明も極力抑えた演出になっていますが、深井さんが演出するにあたって意識していることはありますか。
良き食材に強い調理は必要でないという事を学ばせて頂いております。
出来る限り、俳優と戯曲の鮮度を落とさず創作したいと考えております。
本作では、劇団扉座の横内謙介氏作の「お伽の棺」に、劇団桟敷童子の鈴木めぐみさん、稲葉能敬さん、青年劇場の北直樹さん、高橋紗良さんが出演されています。
深井さんの演出と、それぞれの俳優の芝居へのアプローチが生み出している化学変化のようなものはありますか。
現代劇を演出する事が自分は多いのですが、時代物を主にやってらっしゃる稲葉さん、鈴木さん、北さんと出来るのは、ディスカッションしていく中での気付きも多く、更には若い高橋さんが入る事で様々な視点から作品作りをしていけていると思っております。

シアター倉について、劇場としての特色、魅力はどんなところにありますか。(もし、こうなったらいいな!という点もあればお願いします)
こちらも少し重複してしまうかもしれないのですが、令和の香りと昭和の温度が入り混じる劇場である事が魅力的だなと感じております。
そして劇場から出ると公園があり、川が流れている観ていた物語に思いを馳せながら風景と共に帰路に着ける所も魅力的です。
都心から少し距離があるので、出来れば駐車場が観客も利用出来ると嬉しいです。
稽古、公演期間中、ルーティンにしているようなものはありますか。
稽古場まで車で来ているのですが、同じ道を通って来て、同じ道で帰る様にはしております。何故かはよく分かりません。
このあたりは下町エリアで、スカイツリーができたことで少しずつ雰囲気が変わってきています、この街についての印象をお聞かせください。
また、劇場の周辺で、よく立ち寄るお店などはありますか。
インバウンドの影響か海外からいらっしゃてる方が多くなったなと感じます。
稽古以外であまり街に出向く時間が無いのが残念ですが、古き良きの匂いの残った都会といったイメージでしょうか。
頻繁には立ち寄れませんが、劇場に併設されてあるSASAYAC AFEはコーヒーが美味しくて落ち着きもあり、休息に最適です。
最後に観客の皆さんへのメッセージをお願いします。
自身の自我や環境、抑制に対峙する男の葛藤を繊細に描いた横内謙介さんの傑作です。
我々も日々、戯曲の持つ力にぶん殴られながら、どうにかこの作品の魅力をお客様に余す事なく届ける為に挑んでおります。
どうか多くの方にご観劇頂ける事を切に願っております。

「お伽の棺」を読んだときの最初の印象はいかがでしたか。
まず、台本に「※【】の部分は韓国語です」と書かれていたので、え、これ私がやるの!?と驚きました。日本語でやることになって安心しました(笑)初見で読んだ時の印象は人間の本質や社会の構図は、現代と変わらないんだなと少し苦しい気持ちになりました。
高橋さんの演じる「女」の役柄について教えてください。
「女」という役は命の尊さを教えてくれる存在だと思います。生きていくことの大変さだったり、人間やもっと壮大な表現だと”生物”は強くもあり弱くもある生き物であること、希望を持つことの大切さなど、生きるうえで私たちが感じることを繊細に教えてくれる役だと思います。
本作は「鶴の恩返し」をモチーフにした時代物の舞台です。役づくりで何か意識していることはありますか。
私は昔から姿勢が悪く猫背なので、今回そこだけは言われないようにピンと背筋を張って稽古に挑んでいます。
あとは所作ですね。共演者の鈴木めぐみさんに教えていただいてます。
今回、稲葉さん、鈴木さん、北さんとは初共演ですが、実際、一緒に稽古されてみていかがでしたか。
顔合わせの時はとても緊張しましたが、皆さんとてもとても優しくて!
皆さんが真っ直ぐ役と向き合う姿勢を見て、「私も頑張らなきゃ!」と気合いが入ります。相手がどのようにしたら引き立つのかをたくさん考えてくださる思いやりに溢れた座組だと思います。
皆さんの衣装も素敵ですね。昔の庶民の衣服の雰囲気とかっこよさを兼ね備えていますが、感想がありましたら教えていただけますでしょうか。
色合いが素敵だと思います。私の中で鶴のイメージは白、赤、黒なので、オレンジやピンクの発想はありませんでした。
お気に入りはスカーフです。異人感が増して気分がグッと上がります。
まもなく本番です。最後に意気込みをお願いします。
ひとつひとつ積み上げてきました。あとは稽古でやってきたことを信じて、共演者の方を信じて、スタッフさんを信じて、そして自分を信じて舞台に立ちたいと思います。

「お伽の棺」を読んだときの最初の印象はいかがでしたか。
鶴の恩返しがベースとなっていると聞いていたのですが、とても現代に通じるお話だと思いました。ある意味現実的なお話だと。
そして、善治役は大変だなと思いました…
善治は、稲葉さんから見てどんな人物ですか。
愚直で純粋でちょっと空気読めない人間かと(笑)
試験管の中で育った純粋培養の人間。だから憎めないというか、ほっとけない人間ですかね。
善治役を演じるにあたって、意識していることはありますか。
演出の深井さんにも言われてるのですが、とにかく目の前の欲に猪突猛進で、
一瞬一瞬の出来事にビビットに反応して、嘘がないようにやる事を心がけています。
普段、同じ劇団で活動している鈴木めぐみさんと、別の舞台で共演するというのはいかがですか。新しい発見のようなものや驚きはありますか。
同じ劇団ですが、あまりシーンを共演する事がないので、新鮮な感じです。劇団よりも生き生きして楽しんでやっているように見えます。
横内謙介さんの作品は、演出家や役者など、多くの人を惹きつける魅力があります。その魅力の秘密は何だと思いますか。
物語の完成度の凄さ、奥行きの深さ、詩的な言葉、そして人間とはこういう生き物なのか、無駄がないのに奥行きの深さではと思っております。
まもなく本番です。最後に意気込みをお願いします。
今回、このような素敵な企画に参加させて頂いて大変嬉しく思っております。
深井さん演出で、四人の人間が紡ぐ、新たな「お伽の棺」をお届け致します。
劇場でお待ちしております!

「お伽の棺」を読んだときの最初の印象を教えてください。
面白い。
「あの」名作が全く違う印象でグイグイ来るのが恐ろしくもワクワクしましたね。
北さんの演じる嘉六の役柄について。
村の助役さん(笑)?日頃は人のいいおっちゃんですが、
村と住人を守るということには命もかけるというある意味「異常な正義感」を持っている人なのかなぁ~?
役づくりではどんなことを意識していますか。
ですから、優しさと狂気という二面性のメリハリがどう出せるのか?が勝負かなと思っています。
今回は横内謙介さんの脚本に劇団桟敷童子の鈴木めぐみさん、稲葉能敬さん、
そして高橋紗良さんとの競演と、この劇場ならではのコラボレーションです。
実際、一緒に稽古していていかがですか。
勿論皆さん初めてご一緒させていただく方ばかりですが、とにかく楽しい座組ですねぇ~!
何より感じたことを気兼ねなく言い合える関係があるというのは創造現場にはとても大切で、稽古初日から自然とその空気が生まれたことに「このメンバーで良かった!」と心から思ってます。
横内さんの作品への出演は初めてですが、本作の魅力はどんなところにありますか。
横内さんが先日いらして「静かな演劇やエンタメに対する僕の答えの一つなんだよ」と仰ってましたが、確かに役者の肉体と観客の想像力が全て!みたいな感じもする作品ですから、それをどう具現化していくのか?を試されてるなぁ~と思います。
楽しみにされている観客の皆さんへのメッセージをお願いします。
何より上演時間が短い!(笑)今の時代、これは大事です。それなのに凝縮された時間と空間の中で生まれる「魂のぶつかり合い」が、劇場全体を使って観客を別世界に誘う作品になると思います。
ご期待いただき、多くの方にご覧いただければと思います。観客の息遣いまでもが芝居の一部になりますから…。

「お伽の棺」を読んだときの最初の印象はいかがでしたか。
登場人物4人それぞれの心理が絡み合う奥行のある物語、という印象でした。
鈴木さんの演じる清の役柄について教えてください。
息子を自分の所有物のように偏愛している母親の役です。
「お伽の棺」は94年の初演以降、今回で6演目となります。
これまでにさまざまな方が清役を演じてきました。
鈴木さんが清役を演じるにあたって、意識していることはありますか。
普通の人になるように意識しています。
普段、活動している劇団桟敷童子の舞台との違いについて。
「初めての方たちとの作品づくり」というところが、劇団公演との違いです。
本作は深井邦彦さんの演出ですが、新鮮に思ったこと、感激したことはありますか。
役者の持ち味を尊重しながら、一つの劇世界を作り上げる熱意に圧倒されています。
新しい発見の連続で、贅沢な稽古時間を体験しています。
稽古、公演期間中、ルーティンにしているようなようなものはありますか。
特にルーティンにしていることはありませんが、公演実施に向けていつも以上に体調管理に気を配っています。
すみだパークシアター倉の劇場としての特色、魅力はどんなところですか。
行われる活動によって、様々な色合いに変化するところが魅力です。
主催者側にも観客側にも、無限の可能性を感じさせてくれる劇場です。
最後に観客の皆さんへのメッセージをお願いします。
今の時代にも変わらず存在する「人間の欲」が舞台上で繰り広げられます。
この濃密な時間を、ぜひ劇場で体感してください。